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日本の中学校での国際バカロレアプログラム、アメリカへの高校留学を経て、現在、カナダでトップのトロント大学3年生である杉浦愛來さんに、カナダの教育の魅力、そして人生を変えるきっかけになった高校海外留学などについてインタビューさせて頂きました。

Q:現在はトロント大学の3年生とのことですが、これまでの学生経験を教えてください。

 

小学校までは日本の公立小学校に行き、中学受験を経て玉川学園のIB(International Baccalaureate。註:国際バカロレア:世界共通の大学入試資格とそれにつながる小・中・高校生の教育プログラム) クラスに入学しました。玉川学園のIBクラスはできたばかりで、わたしが4期生。1学年にIBクラスは一クラスのみ、生徒数は約15人という小さなクラスでした。今は、帰国子女や英語ができる子が優先的に入学できるようですが、当時は英語ができない学生でも入学できました。父がこのIBプログラムを推薦してくれ、受験したのがきっかけです。

 

Q:それまでは海外生活経験がないのに、英語で受験されたということですか?

 

試験は日本語で、面接は日本語と英語がありましたが、当時は英語がわからなかったので、自己紹介だけ練習し、英語の質問は「分かりません」と答えていました。面接で「勉強以外に頑張っていることは何ですか」と聞かれ、小学生の時にクラスで年間何冊の本を読めたかの競争を先生がやってくれていたのですが、負けず嫌いなこともあり1位になりたいと思い1年間で380冊ほど読んだことを面接時に話したらとても褒められました。中学受験時は勉強を頑張ることが1番だと思っていましたが、読書という勉強以外のことで褒めてくれる先生がいる学校は面白そうだなと思い、英語はできませんでしたが、この学校に入ってみたいと思い入学しました。

 

英語が全くできないので、英語ができない人は朝の7時半から朝補修のクラスがありました。そんな日々を送ると、中学校3年生の頃にはネイティブまでには行きませんが話せるようになり、リスニングや書くこともできるようになり自信を持てるようになりました。

 

Q:中学3年間はすべて英語の授業でしょうか?

国語や体育など何科目かは日本語でしたが、IB統一の授業は英語がほとんどでした。

Q:IBのプログラムはどのような授業ですか? IBプログラムに興味がある人が多いと思うので、教えて頂けますか。

 

すごくクリエィティブだったと思います。私は中学校から日本の教育を受けていないので比較はできませんが、日本の教育はインプットして、テストでアウトプットする。IBの場合、インプットはするけど、アウトプット方法が色々あり、プレゼンテーションであったり、ディベートだったりクラスディスカッションもあります。印象的だったのが、戦国時代についての授業で、戦国時代の年表を自分で作って、絵なども加えながらわかりやすくプレゼンテーションする、というのがありました。ただ暗記してテストをやるというよりは、何かを作りながら覚えるのが楽しかったです。楽しく勉強するやり方がIBにはあると思います。

 

Q:教えてくれる先生というのはIBプログラムを専門に教える先生ですか?

 

そうです、外国人の先生です。

 

Q:外国人の先生と戦国時代の年表を作る授業、というのはとてもクリエィティブで楽しそうですね。

 

そうですね。あまり「覚えておけよ」というのはありませんでした。

 

中学3年間IBを受け必死に英語を勉強し、もっと英語を話したい、使いたいと思いましたが、クラスメイト全員がみんな日本人で、ハーフの子や帰国子女はいても、ベースは日本人なので日常会話は日本語です。中学3年生になった時に、もっと英語を話したいと思いましたが、中学3年間、日本語で話してきた友達と急に英語で話すことには抵抗を感じたし、高校2年生から始まるDPプログラム(註:DP(Diploma Programme)は16歳~19歳までを対象としており、所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格が取得可能なプログラム)に向けもう少し自分の英語力をあげたいと感じました。そして、英語もできるようになり、グローバル人材になれ、と言われているのに結局、私の世界は家から学校までの狭いところということを窮屈に感じ、親に留学したいと相談し、高校生の時にアメリカに1年間留学しました。

 

Q:高校は玉川学園に進学して、途中でアメリカに行ったということですか?

 

はい、玉川学園に在籍したまま、1年間アメリカのオレゴン州に留学しました。でも1年間の留学を終え日本に帰って来た時点で、将来は海外大学に行きたいと思っていたので、高校2年生の夏に、横浜インターナショナルスクールに転校しました。

Q:愛來さんは確実に自分のやりたい道を歩んでいて素晴らしいですね。横浜インターナショナルスクールはどんな学校でしたか?

 

横浜インターナショナルスクールは横浜にあることもあり、外国人ばっかりで、クラスも1学年60~70くらいですが、純日本人は5、6人で、残りはハーフや外国人です。ハーフの日本人の子や純日本人の子もだいたい海外へ行く子が多いので、海外大学の受験事情やSAT(註:Scholastic Assessment Test。大学進学希望者を対象に行われるアメリカの共通試験)の情報交換ができるなど、良い環境でした。横浜インターナショナルスクールではIBのバイリンガルディプロマを取得しました。

 

Q:なぜ、海外の大学に行きたいと思われたのですか?

 

高校留学が自分の人生を変えたからです。高校留学をした学校が、オレゴン州のセーラムという田舎で、留学先の高校には日本人が一人しかいませんでした。なので、英語を心置きなく話せる環境がすごく楽しく、アメリカでの生活を楽しんでいたのですが、ある日母親に「普通に英語が上達して、普通に文化に触れて帰ってくるのではなく、もっと成長してきなさい。留学の機会を最大限に活用するにね。」と喝を入れられました。私ができることはなんだろうと考えた時に、日本の文化を伝えることだと考え、自ら企画し、地域のミドルスクールにお寿司や折り紙を教えに行ったり、千羽鶴のプロジェクトを立ち上げ老人ホームに寄付する活動などをしました。企画をゼロから立ち上げ、周りを巻き込みながら目標を達成したり、その活動によって誰かが喜んでくれるという経験を、高校留学中に初めて体験しました。

これがすごく楽しくて、自分のターニングポイントとなりました。わたしは、何かを0ベースから作ることが好きだということに気づいたのです。

 

 

 

 

そこで、高校留学中にブログをやっている人があまりいないことに気づきブログを始めたところ、高校留学をしたいという人が私のブログを見に来てくれて、私を頼りにしてくれたり、私のブログをきっかけに留学を決めました、という人が出てきて面白いなと思いました。また、高校留学の情報は、まだ全然世の中に普及していないと感じ、留学後、高校留学を経験した高校生を集めて、高校留学をしたい中・高生にノウハウを伝えるイベントの企画運営を行う学生団体を立ち上げて活動もしました。今は後輩に代表を引き継ぎましたが、今までに計7回のイベントを行ってきました。

 

わたしが高校時代にアメリカに留学をしていなかったら、経験できなかったことがたくさんあります。ですので、大学も海外に行けば何か新しい刺激を得られるのではないかと考え、海外大学に行きたいと思いました。また、海外の大学は専攻を一つに絞らなくて良い場合がある、ということにも魅力を感じました。

 

Q:海外大学の中でなぜカナダのトロント大学を選ばれたのですか?

 

元々アメリカとカナダを併願していて、アメリカなら経営学部に、カナダなら社会学(Sociology)を勉強したいと思っていました。社会学を志望した理由は、学生団体を立ち上げたり、ブログを書いたりする中で、人に影響を与える機会が増え、人々の行動がどう社会に影響がもたらしているのかということについて勉強したいと考えたからです。カナダは多文化主義の国なので色んな人種の教授や生徒がいるので、いろいろな側面から勉強できると思いました。

 

Q:今、勉強されているのも社会学ですか?

 

それが変わっていて、社会学は副専攻として学んでおり、本専攻はメディア学を取っており、もう一つの副専攻として統計学も学んでいます。

 

Q:メディア学とはどういう学問ですか?

 

メディア学も幅が広く、例えば広告の歴史を学ぶクラスがあり、昔は一つのフォントしかなかったのが、広告の普及により、よりインパクトがあるフォントが誕生した、といった歴史を学びました。最近のことですと、トランプ大統領が、どのようにメディアを政治活動に使っているかということや、SNSとテクノロジーの関係性を学ぶクラスを受けたりと、より近代的な内容のクラスも多いです。

 

Q:愛來さんが卒業後にやっていきたいことのイメージはありますか?

 

幅広く理系も文系も勉強してきたので、具体的にこの職業につきたいというのはありませんが、今までもブログを立ち上げたり、学生団体を立ち上げたりと、ゼロベースで新しいことをすることが好きですし、それによって今までになかった情報や価値観を社会に発信し、周りの人に影響を与えたり、喜んでくれることにやりがいを感じています。ですので、これからも、新しい価値観、新しい情報を発信できるような人になりたいです。

 

Q:トロント大学の学生生活は、どのようなものですか?

 

学部や学科によって状況は異なるかもしれませんが、学年によって大変さが違うと思います。わたしの場合、1年生は授業に付いていくのがすごく大変でした。まず、環境に慣れないといけない。その上で、すごく印象的だったのは1年生の最初の数学の授業で、教授が「ここにいるだいたいの人が(高校では)トップの5%、10%に入る人だったかもしれないが、トロント大学では違うよ」と言われました。でもそれくらい勉強が大変。みんな優等生と言われていた人たちがどんどん挫折していく。高校時代と比べるとバイトや課外活動をする時間はありませんでした。

 

2年生になると、慣れてくるのと、必修科目の単位を取り終え、自分が取りたい授業をとれるようになるので勉強が楽しくなります。私も2年生なって学生団体の運営委員をやり始め余裕ができ、大学生活を楽しめるようになりました。3年生になると就活が始まるので、就活をしつつ大学の勉強もこなしていくのが大変でした。4年生が、単位も取り終え、後は卒業するだけなので、一番精神的には楽という話は聞きます。

 

Q:学生団体では、どのようなことをやっていたのですか?

 

トロントニアンズというメディアをやっている日本人学生主体の学生団体の運営委員をやっていました。今までトロント大学には、日本に関係する学生団体は一つしかなく、その団体は、日本の文化を発信するカルチャーよりのクラブでした。その団体はあるものの、なかなか日本人学生に特化したクラブがなく、一昨年の終わり頃に立ち上がりました。この新しい団体も外国人もウェルカムですが、日本人学生同士が交流を深められるイベントや就活系のイベントなどを行います。

 

Q:全部で何人くらい在籍しているのですか?

 

会員制ではないのでイベントがあることに集まり、一番大きいパーティーだと90人ほど集まります。トロント大学に在籍している日本人の3分の2くらいでしょうか?年々増えていて、今年は1年生が多い印象です。

 

Q:トロント大学学生の人種構成はどんな感じですか?

 

日本人はマイノリティで、アジア人、特に中国人は多く韓国人も多いです。日本語をキャンパスで聞くことは全くありません。中国人はよく固まっているので、中国語を聞くことはあります。学生団体主催の集まりがあれば来るけど、面白いことに日本人はあまり群れないです。

 

Q:カナダの教育の良いところや問題点については、日本と比べてどのような印象をお持ちですか?

 

あくまでも私の意見ですが、日本の教育の悪いところはインプットしかない所だと思います。良いところは、1つ1つ教科書通り教えてくれて丁寧。丁寧さが良いところでもありますが、丁寧すぎるところが悪いこともあります。例えばクリエィティブさがないところや、個々の意見や個性より統一試験の成績を尊重する、というとこが日本の教育の課題かなと思います。

 

Q:カナダで実際に教育を受けて、どう感じていますか?

 

一概には言えないとは思いますが、日本の教育と一番違うところは、学びたいことを1つに絞らなくて良いところだと感じています。日本だと大学に入る前に自分が勉強したいことを選ばなければならない。カナダだと専攻を決めるのが、だいたい2年生からです。1年生の時は必修科目をとりつつ、他も幅広く取れます。生物を取りながら、地理やスペイン語を勉強している友達もいたり、理系、文系関係なく幅広く勉強することが可能です。そして2年生になって、もっと深く勉強したいと思えたものを専攻として選ぶので、選ぶ時間を与えてくれています。私のように2年生に選んだ専攻が違うと思って、3年生の途中で変える人も沢山います。

 

Q:大学受験時に専攻を決めなくても良いということですか?

 

それがトロント大学の面白いところで、例外はあるものの、教養学部の場合、教養学部の中に何百と学科があり、教養学部に入ればある程度自由に選ぶことができます。トロント大学の特定の学部にアプライするのでではなく、トロント大学にアプライしているイメージです。教養学部の中でやりたいことが変わっても、いくつかの基準を満たせば大丈夫です。

 

Q:その仕組みは、トロント大学だけですか?

 

他の大学も同じようですが、トロント大学は他の大学より学部の数が多いで有名です。学部では700種類の学科があります。時代やニーズに合わせて、毎年、いくつかの学部が新設されるのも特徴です。メディア学も、私が1年生の時に新しくできた学部です。

 

Q:他に、カナダの教育の魅力はありますか?

 

アメリカの大学もそうかもしれませんが、いろんな人種の教授がいることが面白いです。英語圏だけではなく、アジア圏やヨーロッパからの教授も多いです。教え方や物事の観点にも違いがあり、とても刺激を受けます。また、授業スタイルも、教授のお国柄が反映されたスタイルがあって面白いです。私のイチオシはイタリア人の教授で、とてもノリが良い感じです。どちらかというと、カナダやアメリカの教授はインプット系な印象です。このイタリア人の教授はメディア学を教えており、いきなりビンゴ大会を始めたりするのですが、このビンゴにもカリキュラムがしっかり含まれています。アサイメントもエッセイの課題が多い他のクラスと比べると、フォトショップやイラストレーターを使って広告や本の表紙を作る課題などもあり面白いです。

 

Q:カナダという国や、カナダでの生活について、どう思われますか?

 

トロントは都会なのですが、東京とはまた違った都会の雰囲気でとても住みやすいと思います。東京はどこに行っても忙しいイメージですが、トロントの大学エリアは緑に囲まれ空も広くすごく穏やかで、一方、有名企業が連なる忙しいファイナンシャル地区もありますが、全体的にバランスのとれた街だと思います。勉強や生活することを考えたら良い街です。遊びたい人にはちょっと、つまらないかもしれません。日本と比べると遊ぶところはあまりないので。

 

あとは、人が優しい。アメリカの都会と比べると皆さん余裕がある印象です。人が穏やかで時間がゆっくり。心にゆとりがある。差別も少ないと思います。トロントはカナダ人というよりも、個々の人種が強く、コリアンタウンやチャイナタウン、リトル・イタリーなどのエスニックタウンが沢山あり、個々の人種のコミュニティが強いので差別対象になりにくい気がします。移民が多いので一概にカナダ人といっても全員が白人ではないのも面白いです。

 

Q:最後に海外留学に興味がある後輩や親御さんへのアドバイスを頂けますか?

 

言語や文化を学びたいのなら高校、中学留学が一番良いと思います。大学は勉強が忙しいので、英語力がゼロで来てしまうと、授業に対応できません。その上、大学では勉強で忙しいため文化に触れる時間もなかなかありません。

 

あくまでもわたしの意見ですが、アメリカの公立高校の勉強は日本と比べると簡単で(IB、APは別です)、勉強に割く時間よりは、クラブ活動やホストファミリーと旅行に行ったりする時間など、英語や文化に触れる機会が多いです。ですので、言語を習得したり文化に触れたいのであれば大学留学よりも中学生や高校生の時に留学する方が、オススメです。

 

また、留学に興味はあるけど断念する中高生の多くに、部活動を休めない、留年したくないと考える人が日本には多くいることに、私は少し疑問に感じます。そしてまたご両親もそれらに抵抗を持つ方が多いそうです。もちろん部活動で学ぶことは多いと思いますが、将来プロを目指しているわけではないのなら、一定期間休むことになにも支障はないと思います。留年に関しても、1年遅れても、関係ないと思います。留学をして周りより1年遅く高校を卒業した知り合いも沢山知っていますが、留年したことを後悔している人は1人もいません。留学をしなかったことを後悔している人は沢山いると思います。若いうちに世界を見るということは絶対にポジティブにお子さんが変われる。英語を取得できるのはもちろん、私のように人生のターニングポイントになるかもしれません。大学の進路も高校留学を経て大きく変わると思います。留学ができるチャンスがあるなら、ぜひ挑戦してみてほしいと思います。

 

 

インタビューを終えて

 

今回のインタビューは杉浦さんの多忙なスケジュールの合間に、トロント大学内の図書館でお話を伺いました。落ち着いた大人な雰囲気の中に、聡明で、自分が思ったことを着実にやり遂げていく意志の強さが感じられる知的で魅了的な学生さんです。中学時代に日本でIBプログラムを通して英語や海外の文化に触れ、そして高校時代の海外留学で、自分に何ができるのか、自分が社会に貢献できることは何かを見つけられた杉浦さん。杉浦さんと同じように、少しでも多くの人が、大学進学前の早い段階で英語環境に自分の身を置き鍛え、そして多文化や多人種に触れあう中で、自分のやりたいことや性格見極めていくことができたら、自信をもって未来に向かって行きていける幸せな子供が増えていくことと思います。なお、杉浦さんがブログでトロント大学の生活を発信されていますので、ご興味ある方はぜひ、ご覧ください(http://www.ailiontoronto.com/)。